目次

    ホームロースターのためのOmix Plus:まずはここから

    家庭の焙煎で本当に意味を持ついくつかの測定値、それが焙煎の仕方をどう変えるのか、そしてバッチごとに学びが残るように記録を始める方法を紹介します。ハードウェアの詳しい説明は、Omix Plus完全ガイドをご覧ください。

    パート1:何を、なぜ測るのか

    家庭で測定する理由

    自家焙煎を始めると、コーヒーの見方が変わります。生の種子を目の前にして、それをどう焙煎するかを自分で決めなければならない。この直接のつながりがあるからこそ、コーヒーをどんな味にしたいのかを考えざるを得なくなります。香り、音、目に映る色を頼りにする焙煎はプロにはうまく機能しますが、その直感と技術が身につくまでには、何年もの歳月と、何千ポンドものコーヒーを焙煎する時間がかかります。具体的な測定値を工程に取り入れれば、出発点となる基準と、結果を確かめる手段が手に入ります。見て、嗅いで、聞いたことに確かな数値を当てはめていけば、焙煎を思いどおりにコントロールするための直感を短期間で養えます。

    水分値と水分活性

    水分値は、コーヒー豆の内部に実際に残っている水の量です。水分活性は、その水がどれだけ利用されやすい状態にあるか、つまりどれだけ自由に動き回り、周囲と反応できるかを示します。水分活性は種子内部の有機化合物がどれだけ活発に働けるかに直結しています。そのためこの数値を見れば、生豆が袋の中で安定を保つのか、それとも風味が抜けて、平板で紙のような味が出始めるのかがわかります。家庭の棚では、温度や湿度が管理されていない場所に、ロットが焙煎の合間に何か月も置かれることがあります。そんなとき、この2つの数値から焙煎前の豆の状態がわかり、おいしく飲めなくなる前に急いで使い切るべきタイミングも判断できます。袋が届いたときと焙煎の前にこれらの数値を確認すれば、思い込みではなく、手元の豆の実際の状態をもとに作業できます。

    1回の測定で、すべてをまとめて表示
    1回の測定で、すべてをまとめて表示。上部に水分値と密度、続いて豆のメッシュと1粒あたりの体積、水分活性、そして測定した部屋の環境。

    密度

    密度の高い豆は熱を多く蓄え、焙煎を進めるのにより多くのエネルギーを必要とします。そのため密度は、投入温度を決める目安となり、豆を投入したあとにどれだけ火力をかけるべきかの判断材料にもなります。Omix Plusは2つの数値を示します。ロットを詰めた状態での重量と体積の比であるかさ密度と、豆そのものの物質としての密度である推定「真密度」です。Omix Plusは、詰めたサンプル表面の写真から、豆と豆の隙間をデジタル処理で取り除いて真密度を求めます。この2つの数値を並べて読めば、ドラムに1グラムも投入しないうちに、焙煎の進め方が見えてきます。

    密度の詳細ページ
    密度の詳細ページ:真密度とかさ密度を並べて比較。

    豆のメッシュ

    豆のメッシュは、ロット内の豆の大きさのばらつきを示します。大きさが混在していると焙煎の進み方がそろわず、小さな豆が大きな豆より先に進みます。そのため、このばらつきを見れば、むらのないきれいな焙煎が期待できるのか、先にロットを選別すべきなのかがわかります。Omix Plusは同じ詰めたサンプルからこれを読み取るので、実物のふるいは必要ありません。格付けのためのふるい分けの代わりにはなりませんが、検証済みの範囲には、ふるいで測った真の値が含まれます。焙煎の判断には、それで十分です。

    焙煎色度

    焙煎後、色はフレーバーを示す最も重要な指標であり、一貫性を測る物差しでもあります。Omix Plusは焙煎したホールビーンと粉を読み取り、色分布を作成します。スペシャルティコーヒーで使われているのと同じスケールで、Omniが出す数値とも同じです。ホールビーンと粉の両方を測れば、焙煎デルタを算出できます。ほとんどのホームロースターが目にすることのない数値です。焙煎デルタとは、豆の外側と、挽くことで現れる内側との色の差です。差が大きければ、表面が内側より濃いということ。表面に焼き色のついたミディアムレアのステーキのような状態です。差が小さければ、焙煎が中まで均一に進んだということです。周りに聞いてみると、焙煎デルタがどうあるべきかについて、ロースターの意見は分かれます。あるべき値などありません。これは次のバッチに生かせる情報にすぎません。ミディアムレアのようなコーヒーの複雑さが好きかもしれませんし、力強く、ひとつの印象に絞られた均一なコーヒーが好きかもしれません。自宅で焙煎するなら、決めるのはあなたです。

    焙煎色度のページ
    焙煎色度のページ:カラーホイールと、その下に平均値と標準偏差を示した分布。

    サマリーページ

    自動判別に設定しておくと、Omix Plusは画像、色、大きさ、静電容量、密度からサンプルが何かを一度に判断し、そのサンプルに意味のある測定だけを実行します。生豆では色を測定せず、焙煎豆では水分活性を測定しません。ボタンを1回押すだけで、関係するすべての項目に、測定時の室温と湿度を加えた1枚のサマリーページが表示されます。各ブロックをタップすると、その裏付けとなる詳細を確認できます。

    サマリーページの各ブロックが示す内容。
    サマリーページの各ブロックが示す内容。

    パート2:使い始める

    始めるのに必要なもの

    Omix Plusは、マグネット式のコネクターでカチッと組み合わさる2つのパーツで構成されています。上側はディスプレイと光学系を備えた本体、下側はコーヒーの重さを量って読み取るサンプルベースです。容器は4つ付属しています。底にくぼみのある容器Aでは、水分値、密度、水分活性、豆のメッシュ、豆の体積、サンプルの総重量、焙煎色度を測定します。容器Bは焙煎したホールビーンの色だけを測る容器、容器Cは粉の色を測る容器です。容器Dは校正用です。手順と詳しい仕様は、Omix Plus完全ガイドをご覧ください。

    サンプルを準備する

    密度は、容器への詰め方がどれだけ一定かに左右されます。同じ豆でも詰め方が2通りあれば重さが変わり、あとから15粒取り出しただけでも数値が動きます。毎回の目標は、前回と同じように容器を満たすことです。容器Aに生豆を入れ、付属のスクレーパーを上面に沿って平らに引き、豆ができるだけふちと水平になるようにします。Omix Bean Sweeperを使うと詰め方の再現性が高まるので、頻繁に測定するようになったら使う価値がありますが、始めるだけなら付属のスクレーパーで十分です。

    スイーパーがない場合は、ふちより多めに入れてスクレーパーを平らに引く
    スイーパーがない場合は、ふちより多めに入れ、スクレーパーを上面に沿って平らに引いて、サンプルをできるだけ水平にします。

    測定する

    豆を入れた容器をサンプルベースにセットし、本体を上に載せて測定室を閉じ、ボタンを押します。閉じた測定室が、室内の湿度、空気の流れ、手の影響からセンサーを遮ります。サンプルが外気にさらされていれば、これらが数値をわずかに動かしてしまいます。水分値、密度、色は数秒で、水分活性は約30秒から1分で結果が出ます。

    1. サンプルをセットする
    1. サンプルをセットする
    準備した容器をサンプルベースにセットします。
    2. ふたをして測定する
    2. ふたをして測定する
    本体を上に載せて測定室を閉じ、ボタンを押します。

    CoffeeOSに記録する

    Omix PlusをCoffeeOSとペアリングすれば、すべての測定値を特定のコーヒーに紐づけられます。Omix Plusの測定履歴の中に、どのコーヒーとも結びつかない数値として残ることはなくなります。スマートフォンの近くでOmix Plusの電源を入れると、CoffeeOSが検出します。「接続」をタップし、ファームウェアの更新が表示されたら、測定の前に実行してください。

    デバイスを接続する
    デバイスを接続する
    スマートフォンの近くで電源を入れると、CoffeeOSにペアリングの案内が表示されます。「接続」をタップします。
    ホーム画面のグリッド。ビーンマネージャーで、すべての測定値をコーヒーに紐づけます
    ホーム画面のグリッド。ビーンマネージャーで、すべての測定値をコーヒーに紐づけます。

    ビーンマネージャーを開き、「生豆」タブで新しいエントリーを作成します。産地、精製方法、品種は手入力もできますが、「インポート」をタップして「写真認識」を選び、袋や付属のカードに印刷された豆の情報を撮影する方法もあります。CoffeeOSが情報を読み取り、見つかった項目を入力します。結果を確認し、受け取った日を設定したら、次に進みます。

    1. 「インポート」をタップ
    1. 「インポート」をタップ
    「生産情報」で「インポート」をタップし、「写真認識」を選びます。
    2. 写真を撮る
    2. 写真を撮る
    袋や付属のカードを撮影するか、ライブラリから写真を選びます。
    3. 項目を確認する
    3. 項目を確認する
    見つかった情報はCoffeeOSが入力します。受け取った日を設定し、はっきりしない箇所を修正します。

    「豆の品質」で「項目を編集」を開き、記録したい指標をオンにします。Omix Plusを使う場合は、Omix Plusですべての項目を入力できるので、すべてオンにしてください。次に「インポート」をタップして「デバイスから自動入力」を選び、デバイスを選択して、サンプルの種類を「生豆」に設定し、「テスト」を押します。デバイスの設定で水分活性を別の測定として実行するようにしている場合は、その項目だけを開いて個別に測定し、保存します。

    測定値が各項目に入力される
    測定値が各項目に入力される
    水分値、密度、豆のメッシュ、体積などが「豆の品質」に直接入力され、そのまま保存できます。
    保存された生豆。測定したすべての品質が紐づいています。
    保存された生豆。測定したすべての品質が紐づいています。

    焙煎して、元の豆に紐づける

    焙煎したコーヒーは、専用のタブで管理します。豆を追加し、下部の「ソースを指定」をタップして、元になった生豆のロットを選びます。CoffeeOSが生産情報を引き継ぐので、焙煎日、ロースター、焙煎度などを入力します。焙煎豆の色と水分の減少を測定し直します。それ以降、このコーヒーに紐づけたあらゆるツールのセッション、つまり焙煎度アナライザーのセッション、ブリューレコーダーの記録、パーティクルアナライザーのセッションは、自動的に元のロットに保存されます。数か月後にその生豆を開けば、そこから焙煎したすべてのバッチ、すべてのレシピ、すべての測定値を一か所で確認できます。こうして振り返れる記録が残り、時間とともにどう変わってきたかが見えるので、焙煎が単発の繰り返しで終わらず、実際に学びを得られるものになります。

    1つの生豆に紐づいたすべての焙煎バッチ。それぞれにレシピとインサイトが保存されています
    1つの生豆に紐づいたすべての焙煎バッチ。それぞれにレシピとインサイトが保存されています。

    Omix Plusは家庭の焙煎に合うか

    Omix PlusはDiFluidの測定機器の最上位モデルで、価格は$2,599です。準備した1つのサンプルからすべてを一度に測定したい、本格的なホームロースターのための製品です。そこまでの投資をせずに測定を始めたい場合も、同じCoffeeOSのエコシステムで規模を小さくできます。CoffMeter M1は水分値と密度を、W1は水分活性を、A1は色を担い、Omniは焙煎色度の分布と挽き目の粒度を測定します。どれも同じビーンマネージャーにデータを送ります。小さく始めて、全体像へと広げていきましょう。変わらないのは、今のうちに身につけておきたい習慣です。測って、記録して、その記録から学ぶこと。

    次に読む

    各容器、校正の手順、画面上のアラート、詳しい仕様など、ハードウェアの詳しい説明はOmix Plus完全ガイドをご覧ください。

    2台の機器で数値が食い違っても両方が正しい場合がある理由など、焙煎色度の測定について理解を深めるには、コーヒーの色の測定を理解するをご覧ください。